3月2日に開催した【Bela Muziko! vol.3】にご来場いただいた、天野龍太郎さん(失敗しない生き方)がHonoka Sakaiのライブレポートを書いてくださいました。
ありがとうございます!
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2014年3月2日日曜日。僕はこの日、昼からたらふく酒を飲んでいて、軽い頭痛に苛まれていた。それでも霧雨の降る中、僕は渋谷へ、サラヴァ東京へ足を運んだ。この日2度めとなるソロ・ライヴをおこなうノアルイズ・マーロン・タイツの武末亮さんと、以前から演奏を聞いてみたかった表現(Hyogen)が共演するイヴェントがあったからだ。イヴェントのタイトルは〈Bela Muziko! vol.3〉。とっても失礼なことを告白してしまおう。僕はこの時もう一人の共演者については何も知らなかった。
2014年3月2日日曜日。僕はこの日、昼からたらふく酒を飲んでいて、軽い頭痛に苛まれていた。それでも霧雨の降る中、僕は渋谷へ、サラヴァ東京へ足を運んだ。この日2度めとなるソロ・ライヴをおこなうノアルイズ・マーロン・タイツの武末亮さんと、以前から演奏を聞いてみたかった表現(Hyogen)が共演するイヴェントがあったからだ。イヴェントのタイトルは〈Bela Muziko! vol.3〉。とっても失礼なことを告白してしまおう。僕はこの時もう一人の共演者については何も知らなかった。
表現(Hyogen)の素晴らしい演奏と武末さんのぶっ壊れたガスター・デル・ソルみたいなノイジーなパフォーマンスにくらくらとしながら、僕は帰路に着こうと席を立った。頭痛もひどくなっていたし、帰って仕事を片付けねばならなかったから。そうして出口の近くで国見さん(Wack Wack Rhythm Band/Sloppy Joe)と立ち話をしていると、最後の出演者の演奏が始まった。せっかくだから1曲だけ聞いてから帰ろう、そう思った――結果的に僕はそこから一歩も動けずに固まったまま、彼女の演奏を最後まで、アンコールまで聞いてしまったのだけれど。
さかいほのかさんのピアノは、トロンボーンやフルート、ヴァイオリン、ドラムス、その他様々なパーカッションを従えながらしなやかに、颯爽と転がるように駆けていた。めまぐるしく展開しながらも親しみやすさをけして手放さない愛らしいメロディをめいっぱい奏でながら、霧雨も頭痛も切り裂いて跳ね飛ばすかのように、軽やかに。
1曲目の「airship」からラテン風の「home」、ジャズ交響曲のような「fuyu
no uta」まで、小編成になったりピアノ・ソロになったりとその編成と曲調をどんどん変えながらも、さかいさんの音楽への印象は最初のそれから大きく変わることはなかった――そこには徹頭徹尾、パワフルな作家性がそこにはピンと張り詰めていた。でもこれは繰り返しになるのだけれど、その音楽はとんでもなくポップで親しみやすくって、つまり、強い作家性とポップネスとが絶妙なバランスで共存していたのだ。
ところで。さかいさんとバンド・メンバーのみなさんは、EL&Pからメタリカ、パンテラ、ドリーム・シアターなど、プログレッシヴ・ロックやメタルのバンドTシャツを着込んでいた。それもむべなるかな、彼女の音楽を一言で表現するとすれば「インストゥルメンタル・プログレッシヴ・バロック・ポップ」なんてことになりそうだからだ。アカデミックな響きと万華鏡のような展開、そして強靭なポップネスがひとところで奏でられていた。
さかいさんの演奏をアンコールまで聞いてから帰宅した僕は、結局徹夜で仕事をすることになってしまったのだけれど、そんなことはかまやしない。僕の心は夜が明けるまであの躍動感溢れる愛らしいピアノのメロディで満たされていたからだ。たぶんあの夜のさかいさんの演奏はずっと忘れることができないだろうなあ。そんなことを思っている。